最初に作った CNC 巻線機


 [2015/03/26 15:59:21]

memoPicture001.jpg

写真1:初期型の CNC 巻線機


memoPicture002.jpg

写真2:最新版の CNC 巻線器


 iPhoto のライブラリを見ていると懐かしい写真が沢山でてくる。見つかったのは初期型の CNC 巻線機です(写真1参照)。これはまだ3Dプリンタを持っていなかった頃の作品です。フライス盤で削った物です。最新版の巻線機(写真2)と比べると格段 の差がありますね。写真1の巻線機は煩かった。ステッピングモータが 1/200 回転する度に振動するものですから、下に防振用のマットを敷かないといけませんでした。最初の頃は、まだマイクロステッピング動作なるものを知らなかった ので、しようがないですね。


 その後、L6470 というステッピングモータ制御ICなるものを知り、解決しました。というのも、実は同じステッピングモータを使っている3Dプリンタの DaVinci 、このモーターの音がやけに小さくスムースに回っているのです。それが何故なのか調べて判ったというのが理由です。


memoPicture003.jpg

写真3:アクリル板を切削する様子


 写真1の前の作品もあるのです。最初、アクリル板を使って作ろうとしたのですが。アクリル板の切削は非常に難しい、という かアクリルは熱に弱く、切削時の熱で溶けエンドルータに溶着してしまいます。それを何とか温度を上げないようにと切削オイルに浸しながらの作業をするはめ になりました。その様子が写真3です。


memoPicture004.jpg

写真4:アクリル板で作った巻線機


 で、ようやく出来たのが写真4の巻線機。ここで動作させたら力が弱い。ステッピングモータが小さすぎました。これじゃ使い 物にならないと、再度設計しなおす事に。でもアクリル板の切削はもう結構。そんな訳で、素材をアクリルからメラミン樹脂に変更。


memoPicture005.jpg

写真5:メラミン樹脂を削って作った巻線ヘッド


 メラミン樹脂はアクリルより切削性がよく耐熱性もあります。耐熱性はポリプロピレン並みですが、切削性が良く切れが良い素 材です。硬さはアクリル並み。削っている様子の写真はありませんでしたが、完成一歩手前の写真がありました。それが写真5です。回路基板と違い素材はクラ ンプで固定します。切り出し時に動かないようタブが取付けられているのが判ると思います。切削はアップカットで行うのでバリは殆どありません。で、完成し たのが写真1となります。


memoPicture006.jpg

写真6:初期型の巻線機で針検知センサー用のコイルを巻いている様子


 写真6は初期型の巻線機(写真1)で針検知センサー用のコイルを巻いている様子です。針検知センサーに関しては、そのうち 公開します。センサー用のコイルはできるだけ小さくする必要があり写真の様な整列巻きにしています。φ0.12mm の線を巻いているのですが奇麗な整列巻きにするには正確な巻線送りが必要になります。奇麗なコイルができても、実際に使うとバラツキがあるりました。その 原因を究明したら巻線のテンションにあることが判明。φ0.12mm の線ですから弱い力でも伸びてしまう(細くなり抵抗値が高くなる!)。


memoPicture007.jpg

写真7:テンションコントローラ


 で、結局は写真7のような張力を一定に安定させるテンションコントローラを作るはめになった訳です。このテンションコント ローラに関しては別記事にて紹介したいと思っています。


 その後、3Dプリンタが使える様になったので巻線機の殆どの部品は造形で作っています。造形ならコントローラ本体のケース も一緒に作れるので一体型の巻線機が作れました。これが写真2になります。



 [2015/03/26 16:48:33] 初稿


© 2015 Nishimura Hiromi (NiS-Lab)